2009年 06月 11日 ( 2 )

 

妊娠初期プリンペラン使用の安全性

妊娠女性の50-80%が吐気・嘔吐を第一トリメスターのうちに経験する。
重症の場合もあるが、医療機関で、催奇形性の危険性を考慮し薬物治療を忌避することが多い。
胎児への影響に関して、薬剤の影響の情報が十分でなく、”その治療の有益性が胎児へのリスクを上回るかどうか”確認するのに不十分である。
US、カナダでは、妊娠中の吐気嘔吐に対しての選択は、pyridoxine 、doxylamineである。重症例でmetoclopramideがなされている。しかし、妊娠中使用は適用外となっているらしい。ヨーロッパやイスラエルでは第一選択として使われている。

日本の場合は、相変わらずのワンパターン
妊婦等
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]

2. 授乳婦
授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は授乳を避けさせること。[母乳中に移行することが報告されている。(「薬物動態」の項参照)]
の製薬会社の責任逃れ・・・何も情報のない添付文書



The Safety of Metoclopramide Use in the First Trimester of Pregnancy
N. Engl. J Med. Vol. 360:(24) 2528-2535 Jun. 11, 2009

metoclopramideを第一トリメスターで使用し安全性を検討
1998年1月1日から3月31日までのコンピュータ化データベースで対象を見いだし
妊娠中のmetoclopramide使用と胎児への副事象を他の要素で補正

第一トリメスターのうち、metoclopramide暴露:3458(4.2%)
薬剤暴露無しに比べ、有意なリスク増加無し
重大先天奇形:5.3%   4.9%, respectively;オッズ比, 1.04; 95% 信頼区間 [CI], 0.89 ~ 1.21)
低体重:8.5%   8.3%; odds ratio, 1.01; 95% CI, 0.89 ~ 1.14)
早期出産 :6.3%   5.9%; odds ratio, 1.15; 95% CI, 0.99 ~ 1.34)
周産期死亡: (1.5%  2.2%; odds ratio, 0.87; 95% CI, 0.55 ~ 1.38)


治療的中絶に関しては実質的に影響なし




妊娠中降圧剤と心血管奇形 :薬剤特異性無く、根本は原疾患としての高血圧が原因 2009-05-19

妊娠中バルプロ酸:子供の3歳時IQ低下 2009-04-16

NEJM喘息薬物治療レビュー:外国ではLT拮抗剤の再発見? 2009-03-05

妊娠糖尿病に対する薬物治療第一選択はメトフォルミン? 2008-05-08


FDA Use-in-Pregnancy Ratings:http://www.americanpregnancy.org/pregnancyhealth/fdadrugratings.html

by internalmedicine | 2009-06-11 10:56 | 医療一般  

Zikaウイルスのラップ島での流行(住民の七割強感染)

公式情報:CDC In the News, 2007年6月28日では、希な感染症という報告だった。
血清学的診断だけで、デング熱とされている本邦事例があるが、ウィルス検査をしてないようだが・・・これが日本に持ち込まれてないという証拠は?

臨床症状として軽いため、インパクトは少ないのかもしれないが・・・日本の医師たちも無関心のままではいけないだろう!

Zikaウィルスは、flavivirusで、アジア・アフリカでヒト感染症を引き起こすことで知られていた。
ZikaウィルスのYap島での流行についての報告。

主に発疹、発熱、関節痛、結膜炎で、3歳以上のYap住民の73%がが流行四ヶ月の間に感染したと思われる。

Zika Virus Outbreak on Yap Island, Federated States of Micronesia
N. Engl J Med. Vol. 360:(24) 2536-2543 Jun. 11, 2009


Zika ウィルスはウェストナイル、デング、黄熱などと関連する flavivirus (family Flaviviridae)に属し、1947年ウガンダのEntebbeのZikkaの森のrhesus monkeyから分離されたウィルスで、2006年にゲノム配列同定
アフリカ・アジアで、ヒトのZikaウィルス感染に関する血清学的エビデンスがあり、ウガンダ、ナイジェリア、線絵がルでもヒトから同定されている。Zikaウィルスは感染蚊からヒトに感染すると考えられ、 Aedes africanus、  Aedes luteocephalus、  Aedes aegyptiなどから同定されている。
流行は報告されておらず、症例は14例のみ記載されている。
2007年4-5月、Yap島の医師が”皮疹、結膜炎、発熱自覚、関節痛、関節炎”を記載し、デングIgMキット陽性で、この疾患をデング熱と臨床的に別のものと判断し、二回の流行をYapで見いだしている。
2007年6月、CDC Arbovirus Diagnostic and Reference Laboratoryに血清を送り、71サンプルのうち1(14%)でRT-PCR) assayによるZikaウィルスRNAを見いだした。
RT-PCRアッセイで、他のarbovirus、dengue、 chikungunya、o'nyong-nyong、 Ross River, Barmah Forest、 Sindbis virusesといったものに関しては陰性であった。

49例の確定例、59例のprobable case
Yapの10分の9の市行政区域住民
皮疹、発熱、関節痛、結膜炎が主な症状で、入院、出血症状、死亡例は報告されてない。
3歳以上のYap住民の73%(95%信頼区間, 68-77)が最近感染していると思われ、
Aedes hensilliが主な原因と思われる


臨床症状が軽いため、流行がなかなか捕まえられないのだろう。

by internalmedicine | 2009-06-11 08:32 | 感染症