2009年 06月 12日 ( 4 )

 

デジャ・ビュ:新幹線運転手居眠り

2009年6月12日 09時55分
運転士が居眠り、60m駅通過 大阪、「無呼吸」を治療中
http://www.excite.co.jp/News/society/20090612/Kyodo_OT_CO2009061201000196.html
 大阪市西区の市営地下鉄千日前線阿波座駅で11日午後1時15分ごろ、南巽発野田阪神行き電車の男性運転士(41)が居眠りをしてブレーキ操作が遅れ、停止位置を約60メートル通り過ぎていたことが12日、分かった。市交通局によると、運転士は昨年12月から睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療を受けており「前の駅を出て加速後、眠くなり記憶がなくなった」と話している。


H15.2.26日の“新幹線運転手居眠り”の件を保存してたのだが・・・マスコミのいい加減さがよく分かる。
すなわち、「気のゆるみ」のせいにして、その後、聞き慣れない“睡眠時無呼吸症候群”に大騒ぎ・・・

”JR山陽新幹線で26日、運転手(33)が居眠りし、「ひかり126号」が岡山駅前で停車した事故で、この運転士が前日、知人たちとかなり酒を飲んでいたことが分かった。・・・「運転士の気のゆるみが原因」と・・・
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"Federal/Motor Carrier Safety Aministoration"では”睡眠時無呼吸症候群診断されたドライバーは、毎年PSGもしくはMSLTを受けなければならない”となっている。
それに反する検討もあるようだが(睡眠時無呼吸症候群と自動車事故の関連:TECH BRIEF: Sleep Apnea Crash Risk Study)いづれにせよ、きちんとCPAPなど治療が継続されているか、職業ドライバーにおいてはその徹底が求められる。

by internalmedicine | 2009-06-12 12:08 | 呼吸器系  

白髪の機序:メラノサイト幹細胞の維持機能不全

若白髪から、現在、真っ白頭の私にとってとても大事な論文w
 ↓
Genotoxic Stress Abrogates Renewal of Melanocyte Stem Cells by Triggering Their Differentiation
Cell, Volume 137, Issue 6, 1088-1099, 12 June 2009


誤訳してるかもしれないが・・・
DNAダメージ蓄積による体幹細胞の減少は加齢関連の発現による加齢変化に関与する。白髪は、ほ乳類の典型的サインであり、加齢によるmelanocyte stem cells (MSCs)維持欠如が原因である。
修復不能なDNA損傷、この場合はイオン化放射線によるもので、マウスのMSCsのrenewalを阻害すると、驚くべき事に、apoptosisやsenescence誘導より、むしろDNA損傷反応がMSCのnicheの中の成熟メラノサイトへの分化のトリガーとなる。結果として、MSCsの減少が不可逆性の白髪をもたらす。
さらに、 Ataxia-telangiectasia mutated (ATM:血管拡張性失調症で変異が見出される原因遺伝子)、すなわち、DNA損傷のcentral transducer kinase(DNA double-strand breaksに関与するserine/threonine-specific protein kinase)、この欠乏が、MSCのectopic differentiationを過敏化し、幹細胞の質・量を保持するstemness checkpointとしての機能することで、このkinaseがMSCsの分化早熟を防御することが示された。


最後の一文が治療への示唆となる・・・というわけか!

白髪の原因はDNA損傷 毛根の色素幹細胞が枯渇

 老化やストレスで白髪になるのは、色素を作る細胞の元になる毛根部の「色素幹細胞」が、DNAの損傷を修復できずに枯渇してしまうのが原因であることを東京医科歯科大や金沢大などの研究チームがマウスの実験で突き止め、12日付の米医学誌セルに発表した。

 白髪になる詳しい仕組みの解明は初めてで、予防法の開発につながる可能性がある。また、さまざまな幹細胞を利用する再生医療やアンチエイジング(抗加齢)への応用が期待されるという。

 チームはこれまでの研究で、毛根の色素幹細胞が枯渇すると、やがて色素を作る細胞も無くなって白髪になることを見つけていたが、なぜ枯渇するのかは不明だった。

 そこで、傷ついたDNAを修復する遺伝子を持たないマウスに放射線を当てて実験。すると、通常のマウスでは全く変化が起きないほどの、ごくわずかな放射線で体毛が白くなった。毛根部を調べると、色素幹細胞が色素を作る細胞に分化していることが分かった。
2009/06/12 01:02 【共同通信】(http://www.47news.jp/CN/200906/CN2009061101000956.html

by internalmedicine | 2009-06-12 09:43 | 医学  

アルツハイマー病自己診断テストはかなり有望

認知機能自己評価のための、 TYM ("test your memory")よりアルツハイマー病を検知できるか?


Self administered cognitive screening test (TYM) for detection of Alzheimer’s disease: cross sectional study
BMJ 2009;338:b2030, doi: 10.1136/bmj.b2030 (Published 9 June 2009)
【被験者】18-95歳の対照 540名、メモリークリニック受診者(認知症/健忘的MCI) 139名

【介入】 オペレーターの最小化、非スペシャリスト使用に最適化

【主要アウトカム測定】TYMの正常コントロールのパフォーマンス
年齢マッチ化対照比較のTYMへのアルツハイマー病のパフォーマンス
2つの標準試験、MMSE(mini-mental state examination )とACE-R(Addenbrooke’s cognitive examination-revised)

【結果】 対照の平均スコアは平均47/50
アルツハイマー病のスコアは平均33/50
TYMスコアは2つの標準試験と優れた相関を示した。

スコア ≤42/50 は感度93%、特異度86%のアルツハイマー病診断

TYMは、アルツハイマー病診断という面では、MMSEより感度が高く、93%で、MMSEは52%
アルツハイマー病10%頻度でのTYMのcut off of ≤42という設定での、陰性・陽性値は99%、42%であった。
31名の非アルツハイマー病スコア平均は39/50であった。




ウェブサイト準備中→www.tymtest.com



Your Memory test.

TYM Scoring Sheet.

Mini-Mental State Exam (MMSE)

by internalmedicine | 2009-06-12 08:38 | 精神・認知  

厚労省の愚?:化学物質過敏症保健病名へ?

CSという略号を使っていることから、“MCSとは別の概念”を作り上げたのか?
”multiple"というところがポイントなのに・・・何らかの別のエビデンスでも出現したのか?


”毎日新聞”なので、ソースとして信用できないが、厚労省が愚の選択を行った?

化学物質過敏症:10月から病名登録、70万人救済に道
2009年6月12日 2時30分
http://mainichi.jp/select/today/news/20090612k0000m040141000c.html(魚拓)


さしあたり、以前のブログ記載を再掲しておく

内科開業医のお勉強日記 : 化学物質過敏症 2005年6月13日
・化学物質過敏症というのは、MCSでないというなら、日本独特の概念である。
・MCSであるとすれば、日本語訳を正しく変更すべきであり、この疾患概念の必要性、心身的な問題からとらえる必要性がある。疾患概念が確立してないわけだから、治療専門家も存在し得ないはずである。治療者は独りよがりにならないようにしなければならないはず・・・もっとも、テレビで見た夫婦は病院に行けない・・・とのことであり、治療者が居るとは思えなかったが・・
(医療との分断を自らが選択する可能性が高い・・・ので、専門医と名乗るのはその分断を防止するのには役立つのかもしれない)


内科開業医のお勉強日記 : 化学物質過敏症、その原典:MCS ・・・ 2007年10月3日
化学物質過敏症、Multiple chemical sensitivities(MCS)が日常生活で遭遇する多くの物質に対する悪作用をもたらす病態への病名として提唱されたものである。MCSは、ロン・G・ランドルフ(Theron G. Randolph, M.D. 1906-1995)が提唱、日本では北里大学の石川哲が“化学物質過敏症”と名付けたとされるようだ。

この“chemical:化学物質”の対象は、有機溶媒、殺虫剤、ペイント、新しいカーペット、合成洗剤、新しい生地、建物材料、他多くのものをくむのである。身体所見や生化学異常を伴わない主観的症状のみ診断されるもの(Ann Int Med 15 July 1993 Volume 119 Issue 2 Pages 163-164)

MCSが掲載されるのは2000年以降の文献は少なく、1998年のAFP誌(Vol. 58/No. 3 (September 1, 1998) )がまとまった記載の最後の方で臨床的特徴を記載するほどのデータがない
MCS症状を有する多くの患者は女性(85-90%)で、30-50歳に多く存在する。叙述的、疫学的記載は多くなく不明。頻度・罹患率なども不明。プライマリケアでのMCSは報告されておらず、報告されたのは特異的な状況での選別された患者のみである。


・・・・・

American Academy of Allergy and Immunology、 the American Medical Association、 the California Medical Association, the American College of Physicians、 the International Society of Regulatory Toxicology and Pharmacologyといった学会からその診断名称を拒否されており、以下の存在そのものに対する否定的ステートメントが次々に出されているのである。

American Medical Association Council on Scientific Affairs. Clinical ecology. JAMA 1992;268:3465-7.

American College of Physicians. Clinical ecology. Ann Intern Med 1989;111:168-78.

American College of Occupational and Environmental Medicine. Position statement. Multiple chemical sensitivities, environmental tobacco smoke, and indoor air quality. Retrieved March 1998 from the World Wide Web: http://www. acoem.org/paprguid/papers/mcs.htm.

Executive Committee of the American Academy of Allergy and Immunology. Clinical ecology. J Allergy Clin Immunol 1986;78:269-71
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内科開業医のお勉強日記 :  Acute Irritant-induced Asthma: 刺激に誘発されたぜん息  2009-05-14

主観的所見のみで診断せざるえないMCS or CS・・・このような病名を厚労省は認めたわけだが、これに付随して様々なソーシャルコストが出現する。「衆愚政治」という意味でのポピュリズム大臣も良い部分はあったが、今後に多大な悪影響を及ぼす判断を安直に行ってしまった。
医学を超越して疾患が定着してしまうことの危険性をこの大臣はわかっているのだろうか?

by internalmedicine | 2009-06-12 07:13 | くそ役人