2009年 06月 25日 ( 2 )

 

アルコール性肝炎:特に治療戦略

心理療法にエビデンスがないというのはショッキングだった。重症アルコール性肝炎は、スコアにより、その治療戦略が明確化されている。・・・この周知が必要となろう。

そして、以下の記事の中核薬剤の一つである、トレンタール(pentoxifylline)は有効性が確認できないということで、回収・販売終了してしまった薬剤・・・日本で再販売されるにはまた時間がかかることだろう。


Alcoholic Hepatitis
N Engl J Med. Vol. 360:(26) 2758-2769 Jun. 25, 2009
アルコール性肝炎の診断は、重度アルコール飲用、黄疸、他の原因除外にて診断される。肝生検は価値ある診断手段だが、予後や以前の飲酒・断酒のタイムラインを確定するのには役立たない。断酒は回復のコーナーストーンであり、栄養不良の患者はカロリーと蛋白サポートをしなければならない。
重症のアルコール性肝炎患者(Maddrey's discriminant function, ≥32; or MELD score, ≥21) で敗血症のない患者は、40mg/日28日間プレドニゾロントライアルを投与すべき
プレドニゾロン治療七日後、Lilleスコア0.45超の患者はcorticosteroid治療継続に反応しないはずで、pentoxifylline治療に早期にスイッチする。
医師がステロイド治療に積極的でない場合などの臨床状況において使用されるpentoxifyllineは肝腎症候群予防のために有用である。
pentoxifyllineとコルチコステロイド併用の有効性は研究がなされてなく、RCTが必要な状況である。
短期生存率が90%のような重症でないアルコール性肝炎患者では、コルチコステロイド治療すべきでない。全身性感染合併症のリスクがベネフィットを上回るためである。
結果的には、薬品治療で反応しない場合は、注意深く対象を厳選して肝移植の良質な研究が必要となるだろう。


Maddrey’s Discriminant Function for Alcoholic Hepatitis
http://www.mdcalc.com/maddreys-discriminant-function-for-alcoholic-hepatitis

MELD Score and 90-Day Mortality Rate for Alcoholic Hepatitis
http://www.mayoclinic.org/meld/mayomodel7.html


Lille score:
http://www.lillemodel.com/score.asp



治療のエビデンスのまとめ
心理療法:No clear evidence of benefit in patients with alcoholic liver disease;has not been studies in patients with alcoholic hepatitis

コルチコステロイド:40mg of prednisolone orally, onece a day for up to 28days
Reduced short-term mortality in selected patients with severe alcoholic hepatitis

Pentoxifylline: 400 mg orally, three times daily
Improves in-hospital survival in patients with severe alcoholic hepatitis, fever instances of the hepatorenal syndrome in group receiving pentoxifylline

Infliximab, Etanercept;感染・死亡リスク増加

栄養支持:35-40 kcal/kgBW/日(蛋白1.2-1.5g/kg/日を含む)
Improves nutritional status but does not improve short-term survival in patients with severe alcoholic hepatitis

Oxandrolone、Vitamin E、Silymarin(milk thistle extract):重症アルコール性肝炎の生存率改善せず

by internalmedicine | 2009-06-25 10:03 | 消化器  

骨太指針への日医コメントにみる、与党の開業医いじめの本気度

「医療の効率化」=「診療所・開業医の排除」という世論形成を行いつつある。


産経新聞(背後の財務省・厚労省記者クラブ・経団連)の意見(産経新聞岩崎氏の妄言・暴言  2009-06-15)のように、”開業医は週休2.5日、時間外診療も往診もほとんどせずに、高報酬”なら良いのだが、日曜当番・時間外輪番・休日時間外診療所などの主役は開業医である。“ロビイスト”と決めつけ、”経団連側のロビイスト”の言いなりに医療体制をさらに崩壊させようとする、政府・財務省・厚労省・経団連・メディアのスクラムとポピュリズムの権化のような厚労大臣の現場無視の朝令暮改の感染症対策。

国は、全国各地で、発熱外来を廃止する方向のようである。新型インフルエンザは一般医療機関での対応が主となっている。ただでさえ、手間や人手のかかる感染症対策を国は一般医療機関にこともなげに押しつけているのである。


今後の新型・季節型を含めたインフルエンザ対策どうするつもりなのだろう?

ワクチン発注をそろそろ決めなければいけない頃なのに、現場にその方針を伝えてない。
・季節型ワクチン供給量減だけが伝えられ、例年の確保ができないという・・・となると、誰を優先に季節型ワクチンを勧めるべきなのか?
・新型インフルエンザワクチンは基本2回接種なのだろうか?そうなると、国の何万人分確保というのは、実質は半減することとなる。
厚生労働省は9日、新型インフルエンザのワクチンについて、年内に最大約2500万人分を確保できるとの試算を明らかにした。製造ラインを新型に振り向けるため、季節性インフルエンザのワクチンは、08年の約8割にあたる約4000万人分確保した段階で製造を打ち切ることになるという。(http://mainichi.jp/select/science/news/20090610ddm003040057000c.html)


現場には・・・知らしむべからず、寄らしむべからず・・・という徹底した行政側の態度

ワクチン接種にしろ、早期の急性気道感染症への対応の主役は、多分に開業医なのである。その主役たちに情報も金も与えず、ムチだけ与える・・・恐ろしい政治である。

わけのわからない“骨太”指針への、日医のコメントを見ると与党は徹底した開業医たたきを続ける予定らしい、病院へあつくと言いながら、”介護職員への給与アップ”といってた介護保険の今年の改訂は実質減だったことを見ると病院もおそらく同様となるだろう・・・・・


社団法人 日本医師会 定例記者会見(2009 年6 月24 日)12009 年6 月24 日
「経済財政改革の基本方針2009~安心・活力・責任~」の閣議決定を受けて

社団法人 日本医師会2009 年6 月23 日、「基本方針2009」が閣議決定された。

議論の過程では、社会保障費削減の撤回に向け、厚生労働関係の国会議員の先生方を中心に多大なるご尽力を頂いた。その結果、「社会保障の必要な修復をする」方針が追加された。このことをまず感謝したい。

しかしながら、「基本方針2009」には、「『基本方針2006』等を踏まえ」という表現が残っている。一部では、「社会保障費抑制を撤回」とも報道されているが、社会保障にほころびをもたらし、地域医療を崩壊させて国民を不安におとしいれた「基本方針2006」が否定されない限り、完全な撤回とはいえない。政府が「基本方針2006」を反省していないことに大きく失望するとともに、政府の危機感の欠如を指摘せざるを得ない。


「基本方針2009」には、「昨年度とは異なる概算要求基準を設定」するとある。これを受けて概算要求基準(シーリング)では、2,200 億円という明確な数字は示されず、自然増については容認されるかもしれない。しかし、「無駄の排除など歳出改革を継続しつつ」と併記されていることから、医療崩壊を修復するために必要な財源は、来年度予算でも財政中立により抑制されるのではないかと危惧される。

たとえば、「基本方針2009」別紙1 にも「医療の効率化を進める」とあり、必要な医療が無駄として排除される懸念がある。また同じ別紙1 には「『選択と集中』の考え方に基づき、診療報酬の配分の見直しを行う」とある。財政制度等社団法人 日本医師会 定例記者会見(2009 年6 月24 日)2審議会の「平成22 年度予算編成の基本的考え方について」(6 月3 日)も、診療報酬が診療所に偏っている現状を見直し、病院を手厚くする必要があると述べているが、こうした財政中立の下での配分は、断じて容認できない。


来月早々には、概算要求基準が閣議了解される。日本医師会は、地域医療を修復するための財源が確保されるよう要求し、年末の予算編成まで厳しく追求していく。医療再生、それは、国民が身近で安心して医療を受けることができる社会を保障することである。そのためには、対症療法的な財源手当ではまったく不足である。日本医師会は、今後も「基本方針2006」、すなわち社会保障費の削減について明確な撤回を求めていく。そして地域医療全体の底上げを図り、国民の安心と安全を守るため、強力に行動していく所存である。
社団法人 日本医師会 定例記者会見(2009 年6 月24 日)



度重なる、現場無視の経団連利益主導政治に対して不信を抱いているのは私ら末端の開業医だけでなく、医師会幹部もそうなのだろう。

日医が主導的に、行政のために強制協力されている事業、学校医・検診業務・産業医・地域公衆衛生事業・休日時間外診療割り当て業務など・・・なにかしらの不協力という意思表示も考慮すべき時機に至っているのかもしれない。
これらの奉仕的事業協力を放棄すれば、産経新聞記者たちが考えている、仮想的”開業医の実態”に近くなるのかも・・・



これに荷担する製薬会社があったとは・・・・この会社のお偉いさんのご尊顔
   ↓


このひと、6月24日に辞任している・・・すなわち、昨日付で・・・なんと逃げ足の速い・・・
http://www.astellas.com/jp/ir/stock_bond/pdf/ncsm4.pdf


与党の”開業医いじめ”推進の旗頭:医療政策機構
http://www.healthpolicy-institute.org/ja/outline/counselor/index.php

アンチ医者・アンチ開業医のホープ、藤村氏のお友達企業ということですね。

・”診療所機能を廃絶させること=”効率化”という言い換えで、”病院機能を集約
・医師の業務を制限して、看護師などに”業務分担”させるという美名で、開業医の役割を破綻させようとする悪巧み

すなわち、開業医を敵に回したい企業=アステラス ということになります。

みなさん、どう対処されますか? ・・・ 同種の多い新薬・“ミコンビ”が出たようですが・・・

鳥集 徹、大熊 由紀子氏などの名前もある・・・どれだけ偏った集団!
黒川清や西室 泰三(東芝)など毎度おなじみに地方医療崩壊推進者たちの名前も・・・

by internalmedicine | 2009-06-25 08:48 | くそ役人