2009年 06月 26日 ( 3 )

 

ビスフォスフォネート治療後の骨塩測定は必要ない

確実に増えるのだから、わざわざその治療効果を測定しなくても・・・というごもっともなご意見

Value of routine monitoring of bone mineral density after starting bisphosphonate treatment: secondary analysis of trial data
Katy J L Bell, Andrew Hayen, Petra Macaskill, Les Irwig, Jonathan C Craig, Kristine Ensrud, Douglas C Bauer
BMJ 2009;338:b2266 (Published )

股・椎体骨塩の個体同士の変動・個体内変動にて、ビスフォスフォネート治療の反応性の評価
アレンドロネート3年間治療による平均効果は股骨塩にて0.030 g/cm2増加と関連
個体差はあったが、ごく小さく、アレンドロネート治療は股骨塩≥0.019 g/cm2の増加が97.5%で認められ、治療後の骨塩測定は必要ないようだ。


これで、“まっとうな骨塩測定機器”の費用回収ますます困難になります・・・ご愁傷様でした・・・ご同輩たち

公正取引委員会が全く機能してない、医療機器の分野・・・この辺にメスをいれてほしいものだ・・・

by internalmedicine | 2009-06-26 10:57 | 運動系  

ヨーロッパ13ヶ国:急性咳嗽への抗生剤処方比率は症状改善に影響与えず

13ヶ国のプライマリケアにおける急性咳嗽外来患者での抗生剤処方と回復へのインパクト調査

百日咳とかマイコプラズマなどが混在している場合を想定してないし、不完全な研究だと思うのだが、抗生剤不要という結論は、欧米での報告ではacceptされやすいようだ。

抗生剤薬剤耐性は急激に世界中に広がり、2007年に30ヶ国で肺炎球菌の10%でペニシリン感受性無しとなっている。ヨーロッパの通常患者への抗生剤使用頻度にはばらつきがある。急性咳嗽はもっとも受診理由の多い病気の一つで、下気道感染でのGP受診患者での比率は、オランダ約27%、UK75%などばらつきが大きい。抗生剤処方が多くても回復速度に変化がないということがトライアルエビデンスで示唆されるが、その根拠となるデータベースの大きさが小さく、case mixのインパクトとしては不明

処方レベルの高いところは疾患重症度のばらつきで説明されるかもしれないし、そのばらつきが常に不適切処方というわけでもないだろう。
横断的観察研究、14のプライマリケア研究ネットワークで、13ヶ国におよぶ受診時記録の検討で28日フォローアップ



Variation in antibiotic prescribing and its impact on recovery in patients with acute cough in primary care: prospective study in 13 countries
C C Butler, K Hood, T Verheij, P Little, H Melbye, J Nuttall, M J Kelly, S Molstad, M Godycki-Cwirko, J Almirall, A Torres, D Gillespie, U Rautakorpi, S Coenen, H Goossens
BMJ 2009;338:b2242 (Published )




ARIMAモデルから推定回復カーブ


3402名で回収(ケースレポート完遂99%、症状日記80%)
平均症状重症度スコアは、スペイン・イタリアの19からスウェーデンの38まで分布
ネットワーク毎の抗生剤処方比率は20%から90%近くまで分布(全体平均は53%)

アモキシシリンは全体的にもっとも処方されているが、ネットワーク毎に、ノルウェーの3%からイギリスの83%まで分布はばらつく

フルオロキノロンは3つのネットワークすべてで処方されてないが、Milan ネットワークでは18%が処方されていた。
臨床症状・人的統計学的指標補正後、抗生剤処方はノルウェー(オッズ比 0.18, 95% 信頼区間 0.11 ~ 0.30) からスロバキア (11.2, 6.20 ~ 20.27)までばらつき、全体平均は0.53
回復速度は、臨床症状斟酌k後、処方・無処方で同様 (coefficient –0.01, P<0.01)



この種の報告は、抗生剤処方批判に傾くに決まってるわけで・・・予想通りの結論

症状重症度を日記から計算し、13の症状の合計で、0-100までスコア化したもの

ARMA model を処方に関連したアウトカム変数評価に利用
ARMA (1,1) model は、2つの組み合わせとしての自己回帰部分と、変動平均部分・観察結果発現部位からなる


Xtt+Xt–1+εt–1


Xttの時の症状重症度
εt :error termすなわち 誤差項

個々の患者の症状重症度スコアと事前期間に関連する関連する誤差項を示す



現実の、日常臨床では、早期にマイコプラズマなどを除外することが必要だろう・・・百日咳も?

by internalmedicine | 2009-06-26 10:30 | 感染症  

腹部大動脈瘤検診プログラムの2つの相反する結論

日本ではやられてないが・・・ アメリカ・イギリスでの検診報告がある。

腹部大動脈瘤の悪化:そのリスク要因と時間的要因( 2004-07-08 )では、“毎年の、あるいは、それ未満の頻度のサーベイランス間隔で安全性が担保される”という結論であり、早期に見つけることの意義が強調されている。

"Legs for Life"プログラム(腹部大動脈検診プログラム 2004-04-09 16:54

腹部大動脈瘤の検診は有効で、コスト効果的のようであるというイギリスのMASS研究( Multicentre aneurysm screening study (MASS): cost effectiveness analysis of screening for abdominal aortic aneurysms based on four year results from randomised controlled trial Multicentre Aneurysm Screening Study Group BMJ 2002 325: 1

二つの研究で一見相反する2つの結論

最初のThompsonらの研究結果では65-74歳男性での検診の死亡率ベネフィットは10年持続し、コスト効果はより時間とともに大きくなるというもの
二つ目のEhlerらの研究では、腹部大動脈瘤の検診プログラムのリアルタイムモデリング研究を行い、コスト効果的でないと結論づけている。



Screening men for abdominal aortic aneurysm: 10 year mortality and cost effectiveness results from the randomised Multicentre Aneurysm Screening Study
S G Thompson, H A Ashton, L Gao, R A P Scott, on behalf of the Multicentre Aneurysm Screening Study Group
BMJ 2009;338:b2307 (Published )



Analysis of cost effectiveness of screening Danish men aged 65 for abdominal aortic aneurysm
Lars Ehlers, Kim Overvad, Jan Sorensen, Soren Christensen, Merete Bech, Mette Kjolby
BMJ 2009;338:b2243 (Published )





前者は、
後者は、ハイブリッド意思決定ツリー・Markovモデルを短期・長期的検診効果をシミュレートしたもの
Monte Carloシミュレーションを利用したProbabilistic sensitivity analysisを行い、コスト効果需要曲線を引き、完全情報カーブの期待値と、検診導入後の経時的腹部大動脈瘤予防ネット数を推定



日本での検診は、被験者に対して、そのコスト効果や、見落とし確率ちゃんと説明しているのであろうか?
被験者に聞くと、はなはだ疑問をもたざるえない、検針業務がなされているようである。
たとえば、“肺がん検診なども二割見逃しの可能性がある”という説明がされるだけで、随分、被験者側および家族の対応も違うと思うのだが・・・訴訟を誘発しているような、、不十分な検針業務があらゆるところでなされ、結果的に税金注入されている。

“見落とし確率”を過誤とするなら、その賠償リスクまで考慮されたコスト効果検討が必要だろう。検診プログラムを策定する連中はそこまで考えてないことが問題。
 ↓
乳がん検診見落とし訴訟
船橋市350万円支払い和解へ
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/chiba/news/20090625-OYT8T00060.htm
 乳がんの早期治療ができなかったのは、船橋市の乳がん検診で精密検査が必要との診断結果が出なかったためとして、市内の女性が市に損害賠償を求めた訴訟があり、市は350万円を支払う方針を決めた。29日開会の6月市議会に関係する議案を提案する見通し。

 市によると、女性は2007年4月、市が中央保健センターで実施した集団の乳がん検診を受診し、視触診や乳房エックス線検査(マンモグラフィー)で「異常なし」と診断された。女性は08年3月に病院を受診した際、乳がんと診断され、手術を受けた。現在も治療を受けている。女性は08年12月、市を相手取り、慰謝料など約760万円を求めて東京地裁に提訴した。

 市は当初、精密検査までは必要なかったなどとして、争う構えを見せていたが、その後、マンモグラフィーの写真を確認した結果、精密検査が必要だったとも判断できるなどとして、原告の訴えを一部認め、地裁の和解勧告を受け入れることにした。

 市によると、今年4月から、乳がん検診について、集団から個別検診に切り替え、医師と受診者が話し合えるようにしたという。
(2009年6月25日 読売新聞)。

by internalmedicine | 2009-06-26 08:52 | 動脈硬化/循環器