2009年 07月 31日 ( 5 )

 

ARMYDA-RECAPTURE:PCI前の高用量スタチン

ARMYDA (Atorvastatin for Reduction of Myocardial Damage During Angioplasty) トライアルは、PCI施行中の安定狭心症患者で、PCI周術心筋梗塞発生を短期的に減少させ、この心筋防御作用は、ARMYDA-ACS(Atorvastatin for Reduction of Myocardial Damage During Angioplasty–Acute Coronary Syndromes)で示されてた。

今回はやや長期の報告

Efficacy of Atorvastatin Reload in Patients on Chronic Statin Therapy Undergoing Percutaneous Coronary Intervention
Results of the ARMYDA-RECAPTURE (Atorvastatin for Reduction of Myocardial Damage During Angioplasty) Randomized Trial
J Am Coll Cardiol, 2009; 54:558-565, doi:10.1016/j.jacc.2009.05.028 (Published online 1 July 2009).
介入:192名:atorvastatin reload (80 mg 12 h before intervention, with a further 40-mg pre-procedural dose [n = 192])
プラセボ:191名

30日の重大大血管イベント発生比をオッズ比 0.50(95% 信頼区間 0.20-0.80,p=0.039
で、内訳の80%が急性冠症候群


Secondary End Points(cardiac death, myocardial infarction, or unplanned revascularization)

by internalmedicine | 2009-07-31 15:35 | 動脈硬化/循環器  

軽症CKD: スピロノラクトンの左室容積・arterial stiffnessへの効果

早期腎臓病(CKD)患者に、ACEとARBにスピロノラクトンを追加して、左室容積とarterial stiffnessを改善するかどうか?( (Is Spironolactone Safe and Effective in the Treatment of Cardiovascular Disease in Mild Chronic Renal Failure; NCT00291720))


Effect of Spironolactone on Left Ventricular Mass and Aortic Stiffness in Early-Stage Chronic Kidney Disease
A Randomized Controlled Trial
J Am Coll Cardiol, 2009; 54:505-512, doi:10.1016/j.jacc.2009.03.066

プラセボ比較で、スピロノラクトンnは有意な左室容積改善(–14 ± 13 g vs. +3 ± 11 g, p < 0.01)、pulse wave velocity (–0.8 ± 1.0 m/s vs. –0.1 ± 0.9 m/s, p < 0.01)改善、augmentation index (–5.2 ± 6.1% vs. –1.4 ± 5.9%, p < 0.05)改善、aortic distensibility (0.69 ± 0.86 x 10–3 mm Hg vs. 0.04 ± 1.04 x 10–3 mm Hg, p < 0.01)改善を認めた


結論としては、”早期CKDのスピロノラクトンは左室容積、arterial stiffnessを改善する。この効果はaldosteroneがCKDに心血管に対して悪影響を与え、スピロノラクトンが副事象イベント軽減に寄与する可能性があることを示唆する”というもの。

日本の現行のガイドラインでは、高血圧事例に関して
降圧薬の選択
① 降圧薬は,原則としてRA 系阻害薬( ACEI もしくはARB)を第一選択薬とする
② 降圧目標の達成には,第二選択薬(利尿薬やCa 拮抗薬)との併用療法を考慮する
と記載されている。

論文序文を読むと、KDOQIは変わったのかなと思ったがやはり、降圧治療として、T
he benefit of antihypertensive therapy, especially with angiotensin-converting enzyme inhibitors, to slow the progression of kidney disease is greater in patients with higher levels of proteinuria compared to patients with lower levels of proteinuria
と書かれており、まずは、ACE阻害剤で、含みを残してARBが正しいようだ。

上記論文をきっかけに、記載が変わるか?


k関連記事:テストステロン・サプリメントによる腎障害・血圧悪化影響(動物実験モデル) 2007-08-09

男性ホルモンは心臓には有害、呼吸器には有益に働く?  2007-06-26

男性更年期  2006-05-13

男性更年期のアンドロゲン補充療法・・・・エビデンス無し、リスク可能性大 2004-05-06

低テストステロン状態は死亡リスクが高い  2006-08-15

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by internalmedicine | 2009-07-31 14:49 | 動脈硬化/循環器  

小児感染症抗生剤使用制限のための患者・家族向け小冊子使用は有効

抗生剤薬剤使用を減らすことに懸命で、”とにかく抗生剤使用が減ればばよい”、”受診は少ない方が良い”、”親が満足すればよい”ということを最善とした論文がBMJではめだつ。同様症状再診を悪と見なしており、反復感染、持続感染、難治性感染の可能性はないのだろうか?・・・見逃しリスクに関して何ら語られてないのが・・・どうも納得できない老人医者にわたしもなったのだろうか?

Performance evaluation of a new rapid urine test for chlamydia in men: prospective cohort study
BMJ 2009;339:b2655
【序文】小児気道感染娯楽的小冊子により、ケアの両親満足度を維持しつつ、同様のエピソードの再診を減らし、抗生剤使用を減らし、将来のコンサルティング意向に影響をあたえるか?

【デザイン】 Pragmatic cluster randomised controlled trial.

【セッティング】 61 general practices in Wales and England.

【被験者】 558 名の子供 (6 ヶ月 14 歳) で、急性気道感染でプライマリケア(7 日間未満)
肺炎、喘息、重症不随疾患で、迅速に入院必要な場合は除外
3名中断、27名フォローアップできず、残り528名でメインアウトカムデータを作成

【介入】 介入群医師は、呼吸器感染症についてのインタラクティブな冊子使用を訓練し、再診患者でコンサルテーション中小冊子使用を尋ねる(家庭でのリソースとして供給する)。
対照群は、通常の受診形態をとる。

【主要アウトカム測定】 2週間フォローアップ期間中同様症状についての対面コンサルテーション子供の比率
セカンダリアウトカムは抗生剤使用、高精細使用量、次受診意志、両親満足度、安心感、実行可能性


【結果】 再診は、介入群 12.9%、対照群 16.2%(絶対リスク減少 3.3%, 95% 信頼区間 –2.7% ~ 9.3%, P=0.29)

multilevel modelling (診療・個別レベル)クラスタリング勘案にて、再診、有意差認めず (オッズ比 0.75; 0.41 ~ 1.38)

抗生剤処方は、介入群で、19.5%、対照群で40.8%(絶対リスク減少21.3%、95%信頼区間 13.7-28.9)、 P<0.001)

クラスタリング補正後も有意差が維持 (オッズ比 0.29; 0.14 ~ 0.60)

同様症状出現時、次の受診の両親の意志表明の比率も有意な差あり (オッズ比 0.34; 0.20 ~ 0.57)

満足、安心、両親実施スコアは両群の差に関して有意でなかった。

【結論】 プライマリケア受診での小児の呼吸器感染症の小冊子使用は抗生剤処方を減らし、ケアの満足度を損なうことなく、次期同様症状の時の受診意志を減らすことができる。



わかりやすい、インタラクティブな患者説明資料を提供することは、どの分野でも、診療上、患者・家族の理解を深め、診療をスムーズに行い、結果、アドへランス改善に役立つようだ。臨床的アウトカムまで影響を与えるかは・・・いろいろのようだが・・・

educational bookletは多いが、leafletは少ないようで(pubmed 比較:leaflet educational(97) vs booklet educational(721))、患者説明に関して、その必要質量増大傾向にある。


厚労省は抗生剤使用を減らしたいのであれば、”抗生剤適正使用”患者向け小冊子を税金で作り配布義務を、抗生剤処方調剤時に科したらだうか・・・

結果、重大疾患のみ逃しにつながる可能性は、政府・厚労省・役人が責任取ることは当然として・・・

by internalmedicine | 2009-07-31 11:23 | 感染症  

卒中後患者のリハビリテーション:口さきだけの指導じゃ、効果ありません

紹介の論文の結論・・・・卒中後の患者に、口先だけの運動を、口頭指導だけして、はたして、まともなアウトカム改善がなされるか?・・・されるはずもない・・・だろうに・・・

いつものごとく、脱線・・・
日本の厚労省官僚たちは、算定日数制限にて、卒中後の患者のリハビリテーションを放棄させようとした(2006年診療報酬改訂)。

そして、いわゆる利権だらけの”パワーリハビリテーション”(パワーリハビリテーションに関する・・・・シリーズ(1)(2))があった。

方向性として、すべて間違いと言えないと思うが、現場無視、特定業者・研究者だけの意見による独善的導入などで、フィロソフィーのないその場だけの医療施策が行われてきた。


・・・と、いつものごとく、厚生官僚・行政批判をおこなって・・・



ExStroke Pilot Trial of the effect of repeated instructions to improve physical activity after ischaemic stroke: a multinational randomised controlled clinical trial
Gudrun Boysen, Lars-Henrik Krarup, Xianrong Zeng, Adam Oskedra, Janika Korv, Grethe Andersen, Christian Gluud, Anders Pedersen, Marianne Lindahl, Lotte Hansen, Per Winkel, Thomas Truelsen, for the ExStroke Pilot Trial Group
BMJ 2009;339:b2810 (Published )【目的】 虚血性卒中患者へのくりかえし言語的指導が長期身体活動に影響を与えるかの検討

【デザイン】 Multicentre, multinational, randomised clinical trial with masked outcome assessment.

【セッティング】 Stroke units in Denmark, China, Poland, and Estonia.

【被験者】 40歳以上の歩行可能虚血性卒中患者314名、介入群:157 (平均年齢 69.7 歳)、対照群 157 (平均年齢 69.4 歳) にランダム割り付け

【介入】 介入群は退院前の詳細なトレーニングプログラムを指導、24ヶ月間に5回フォローアップ
対象患者も同じ回数受診するが、身体活動指導行わず

【主要アウトカム測定】 Physical activity assessed with the Physical Activity Scale for the Elderly (PASE) at each visit. Secondary outcomes were clinical events.

【結果】推定平均PASEスコア 介入群 69.1、対照群 64.1(差異 5.0(95%信頼区間 -5.8~15.9)、P=.36
介入にて死亡率、再発卒中、心筋梗塞、転倒・骨折に有意な影響なし

【結論】 身体活動性反復奨励・口頭指導は、PASEスコア評価身体活動性の有意な増加につながらない
虚血性卒中より強化的戦略が身体活動性促進のためには必要であろう。


観察研究において、中等度の身体運動は心血管疾患・初回卒中のリスクを軽減することが報告され、身体活動は、卒中再発リスクへも影響を与えるか期待がもたれているが、まだ不明。しかし、血圧、血糖代謝、コレステロールなどへの影響のための好影響のため、卒中生存者への身体運動は推奨されている。
身体活動カウンセリングに関して、とじこもり老人へのある程度の効果、糖尿病・高血圧・高コレステロール血症・過体重老人患者への効果に関していくつかの効能が報告されている。
しかし、全体的に見ると、システミック・レビューにてその効果のエビデンスは限定的で、ランダムトライアルはほとんどなさrてないし、トライアル期間は3-6ヶ月のみと限定的。

ExStroke パイロット・トライアルでは、口答指示を主体とした介入で、PASEによる評価した卒中患者の身体活動性増加をもたらすか検討したものであった。

by internalmedicine | 2009-07-31 09:22 | 運動系  

プレホスピタル挿管に思う、日本のポピュリズム医療施策

重症外傷患者への挿管には麻酔下挿管が必要で、パラメディカルの挿管に合理性がない  2004-05-22 で、触れたが、“院外気管内挿管に関して、院内より難しく、合併症・死亡率が高い”という事実の確認が、救急救命士の挿管容認の議論の時点で行われていなかった。

その後も、呼吸困難に対する院外パラメディックスALS  2007-05-24でも、言及した。


もっぱら、フジテレビ黒岩を代表とする、感情論が先行し、パラメディカル院外気管内挿管をリスクの検討無く、そして、日本では、容認後さほどそのリスクの検討がなされることなく、現状に至っている。

Davis DP, Peay J, Sise MJ, et al. The impact of prehospital endotracheal intubation on outcome in moderate to severe traumatic brain injury. J Trauma 2005; 58: 933-939.

収容前挿管が悪いことだとは言わない。だが、日本の行政の


Mort TC. Preoxygenation in critically ill patients requiring emergency tracheal intubation. Crit Care Med 2005; 33: 2672-2675.


シンボリックなのは、フジテレビ黒岩で、”医師会の既得権のため”と述べている。下卑た人間には、下卑た発想しかできないのだろう。現場をしらない人たちの物知り顔の虚言妄言により、有害事象をふりまいている可能性が高いのである。



民主党政権になれば、今後、国会で診療報酬が討議されるという、メディアの言い分とは現実は全く異なり、中医協はくそ役人や経団連の息のかかった御用学者たちの密室談義でなりたっている。それを考えれば幾分マシな部分もあるのではないかという考えはあまいのだろうか?

でも、怖い部分は、黒岩のような声の大きいだけのメディアが、ふたたび、現実無視の施策を言いだし、それにのっかったかたちのポピュリズム医療政策をしないかどうか・・・とても不安である。

先週のLancet記事(重症患者迅速挿管補助:麻薬指定で使いにくくなったケタミンは、etomidateと同等 [2009-07-24 08:51 by internalmedicine])のエディトリアルを読みながらそう思った。


参考エディトリアル:
The Lancet, Vol. 374 No. 9686 pp 267-268

by internalmedicine | 2009-07-31 08:43 | 医療一般