2010年 03月 12日 ( 4 )

 

【米国】性的活動可能平均余命に関する報告

横断研究で、米国2つのサンプルで、 MIDUS (the national survey of midlife development in the United States, 1995-6)と NSHAP (the national social life, health and ageing project, 2005-6).

midlife cohort (MIDUS) からの3032名の成人(25-74歳、1561名の女性、1471名の男性)と later life cohort (NSHAP)からの3005名の成人(57-85歳、1550名の女性、1455名の男性


Sex, health, and years of sexually active life gained due to good health: evidence from two US population based cross sectional surveys of ageing
BMJ 2010;340:c810, doi: 10.1136/bmj.c810 (Published 9 March 2010)


平均余命と性的活動可能余命

Life expectancy and sexually active life expectancy in US men and women. Based on data from national survey of midlife development in the United States (MIDUS)


性的活動可能余命

Sexually active life expectancy in US men and women by health status. Based on data from national survey of midlife development in the United States (MIDUS)




非常に複雑な思いで、この図を見る人も多いと思われる。

えぇーーそんなにこれからも長くしないといけないのぉ・・・という方から、後、何年かしかできないんだ・・・という方まで・・・

by internalmedicine | 2010-03-12 17:22 | 医学  

受診毎の収縮期血圧変動が卒中リスク、他、治療中患者でも・・・episodic 高血圧の問題も

高血圧が血管イベントを生じるメカニズムは実は完全に明確となったわけではない。血圧のどの要素が一番アウトカムに影響があるかは未だ不明なのである。

診断治療ガイドラインでは、平均血圧にのみ関心が置かれているが、受診毎のの変動、最大血圧到達値、未治療エピソード的高血圧、治療患者に関する別の変数に関する有用性について着眼して検討。


結論から言えば、SBP(収縮期血圧)の受診毎の変動と最大SBPが卒中の強い予測因子となり、平均SBPと独立した因子となり得た。
血圧治療中の残存的SBP変動は、心血管イベントの高いリスクとなり得た。

受診毎の血圧変動に影響をおよぼすものは、元々の日差変動があり、そのほか、年齢、女性、喫煙、糖尿病、末梢動脈疾患との関連が考察されている。
この変動は、年齢とともに増加するが、影響としては若年者が大きい、おそらく、卒中や死亡、目標臓器障害の感受が大きい共役的要素が少ないからだと思われる。

収縮期血圧の受診毎の変動および最大収縮期血圧が卒中の予測因子となり、平均血圧の変動とは独立した要素であるという結論、そして、治療中高血圧患者ではSBPの変動がやはり血管性疾患イベントの高リスク因子であることが判明した。

episodic hypertensionの問題も触れられている・・・盛りだくさん過ぎる論文


Prognostic significance of visit-to-visit variability, maximum systolic blood pressure, and episodic hypertension
The Lancet, Volume 375, Issue 9718, Pages 895 - 905, 13 March 2010

以前のTIA発作既往をもつ患者 (TIA; UK-TIA trial and three validation cohorts) と高血圧治療患者 [ASCOT-BPLA]で、受診毎の血圧変動と最大血圧に関連した卒中リスクについて決定する目的

ASCOT-BPLAでは、24時間ABPMが研究されている。

TIAコホートで、受診毎の収縮期血圧変動は、その後の卒中の強い予後因子(eg, 最大10分位ハザード比 [HR] for SD SBP over seven visits in UK-TIA trial: 6·22, 95% CI 4·16—9·29, p<0·0001)であり、平均血圧と独立した要素で、測定の正確性に依存する(10回受診の最大10分位ハザード比: 12·08, 7·40—19·72, p<0·0001)

a0007242_14385252.gif


最大SBP到達値は、また、強い卒中予測因子である(7回受診の最大10分位ハザード比: 15·01, 6·56—34·38, p<0·0001, 平均血圧補正).

ASCOT-BPLA、治療によるSBPの受診後との残余変動がまた、卒中と冠動脈イベントの強い予測因子(eg, top-decile HR for stroke: 3·25, 2·32—4·54, p<0·0001)で、クリニック・ABPMの平均SBPから独立した因子であることが示された。



a0007242_1522537.gif


ASCOT-BPLA治療群
左:SD, VIM, and ASV of SBP10分位
中央:卒中リスクとの相関
右:冠動脈リスク



中央、右は卒中、急性冠動脈イベントのリスクハザード比(95%CI)で、10分位毎の表示
第一10分位を参照カテゴリーとする
10分位毎の、治療群毎のアウトカムイベント数を下に示す
SBP=systolic blood pressure. VIM=variation independent of mean. ASV=average successive variability.



ABPMの変動は弱い予測因子であるが、変動に関する測定項目はすべて若年者や平均SBP低値(<median)値の場合でもすべてのコホートでほぼ予測的に働く。



各受診時(ベースライン、6週間後、3ヶ月後、6ヶ月後、それ以上6ヶ月毎)5分安静後座位で、半自動 oscillometric device (Omron HEM-705CP, OMRON Healthcare, Kyoto, Japan)で測定
4つのセンターで、24-h ABPM (SpaceLabs 90207, SpaceLabs, Hertford, UK)を30分ごと測定。
時間比重平均:日中、夜間、24時間SBPとDBPを計算

by internalmedicine | 2010-03-12 15:24 | 動脈硬化/循環器  

本邦老人施設:肺炎球菌ワクチンは肺炎球菌のワクチンであり、肺炎ワクチンではない!

NHKあたりが、ためしてガッテンなどで、外国の一流紙にも認められた”肺炎予防のためにワクチンを”などと放送するのではないかと恐れる。


これは、日本のナーシングホームということなので、老健施設だろうか?・・・23価肺炎球菌ワクチンの効果を検討したもので、結論は、23価肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌性肺炎を減少し、肺炎球菌性肺炎による死亡を減少したという・・・それはそれで結構なことだが・・・

Efficacy of 23-valent pneumococcal vaccine in preventing pneumonia and improving survival in nursing home residents: double blind, randomised and placebo controlled trial
Takaya Maruyama, Osamu Taguchi, Michael S Niederman, John Morser, Hiroyasu Kobayashi, Tetsu Kobayashi, Corina D'Alessandro-Gabazza, Sei Nakayama, Kimiaki Nishikubo, Takashi Noguchi, Yoshiyuki Takei, Esteban C Gabazza
BMJ 2010;340:c1004 (Published )


1006名のナーシングホームの住民をワクチン投与群(n=502)とプラセボ(n=504)にランダム割り付け

プライマリエンドポイントは、全原因肺炎と肺炎球菌性肺炎
セカンダリエンドポイントは肺炎球菌肺炎、全原因肺炎、他の理由による死亡

肺炎発生
ワクチン群  63(12.5%)
プラセボ群 104(20.6%)




肺炎球菌性肺炎診断

ワクチン群 14 (2.8%)
プラセボ群 37 (7.3%) (P<0.001)





全原因肺炎・肺炎球菌性肺炎は有意にワクチン群よりプラセボ群が多い;1000人年あたり頻度 55 vs 91(P<0.0006) 、 12 v 32 (P<0.001)


肺炎球菌死亡は有意にプラセボ群で高い(35.1% (13/37) v 0% (0/14), P<0.01)

ワクチン群の全原因肺炎死亡率 (vaccine group 20.6% (13/63) v placebo group 25.0% (26/104), P=0.5) 、他原因 (vaccine group 17.7% (89/502) v placebo group (80/504) 15.9%, P=0.4) は、研究対象群間の差がない。



・・・・で、これを肺炎のワクチンと呼ぶのはどうだろうか?

この結果を見て、肺炎球菌ワクチンはすばらしい、これで老人施設でのワクチン接種を義務づけすれば、老人は肺炎という苦労を背負い込まなくてもすむし、死亡率も下げる、医療費削減にもなるし、製薬会社はもうけるし万々歳・・・と思い込むのは早計!


萬有製薬の患者向けパンフレット(http://www.banyu.co.jp/pdf/content/hcp/productinfo/booklet/bl_pneumococcal_vaccine.pdf)をみると詭弁の論理が展開されている・・・

すなわち、
”肺炎は日本人の第4番目の死亡原因です”→”肺炎球菌の予防が大事です”・”肺炎で一番多い病原菌は肺炎球菌です”→「肺炎球菌ワクチン」を接種しておくと、肺炎の予防や、肺炎にかかっても各位症状ですむ効果が期待されます。



みごとなミスリーディングである。

上記論文では、”肺炎全体への肺炎球菌ワクチンの効果インパクトは、ナーシングホームで確認できなかった”.





これは、今までの報告でも、確認されていることであり、万有の詐欺的宣伝と言わざる得ない。


それと、ワクチンの肩を持つと、invasive pneumococcal diseaseの概念が日本国内で普及してないためだと思うが、その検討がこの論文で話されてない。そのため、このワクチンの効果に関して過小評価の可能性が存在することも付記する。

by internalmedicine | 2010-03-12 09:08 | 感染症  

肝疾患におけるアルコールと肥満

肥満とアルコールの肝疾患リスク増加に関する2つの報告

1つめは、BMIと肝硬変に関して120万人の中年イギリス女性の検討で、健康体重比較で、過体重・肥満者では、肝硬変リスクの増加が見られる。相対リスクはアルコール飲用で有意差がなくなるが、絶対リスクは存在する。
Body mass index and risk of liver cirrhosis in middle aged UK women: prospective study
Published 11 March 2010, doi:10.1136/bmj.c912
Cite this as: BMJ 2010;340:c912




Relative risk of liver cirrhosis according to body mass index. FCI=floated confidence interval. *Relative risk plotted against mean measured body mass index (BMI) in each BMI category
Relative risks of contributions of BMI and alcohol to liver disease mortality (adjusted for all risk factors).


2つめは、9000名超の肝疾患患者におけるBMIとアルコール飲用のjoint effectを調査、両要素の存在が肝疾患、そして重要なことに、その組み合わせで、付加的影響を個別要素以上に与えることが示された。
Effect of body mass index and alcohol consumption on liver disease: analysis of data from two prospective cohort studies
Published 11 March 2010, doi:10.1136/bmj.c1240
Cite this as: BMJ 2010;340:c1240





Relative risks of contributions of BMI and alcohol to liver disease mortality (adjusted for all risk factors).



エディトリアルでは、将来の研究としてNAFLDの診断・治療に関する焦点化が必要と説かれている。

by internalmedicine | 2010-03-12 08:40 | 消化器