2010年 04月 09日 ( 3 )

 

プライマリ・ケアにおける、直腸結腸癌に関する、症状と検査の意義

欧米のプライマリケアってのは、内視鏡検査まで行うことも多い日本のプライマリケアとはずいぶん趣が違うのだが、スタンスとして、特定の状況下でもそれぞれその検査の意義を検討しようという姿勢は・・・さすが

日本なら、ぼんくら官僚が机上の空論と、財務省からの圧力により、適当な理由づけをして、プライマリケアをけなすばかりで、マスコミや特定の御用学者が乗じて、現実世界とは異なる世界を形成する・・・ばかり・・・と愚痴りたくなる


Value of symptoms and additional diagnostic tests for colorectal cancer in primary care: systematic review and meta-analysis
BMJ 2010;340:c1269, doi: 10.1136/bmj.c1269 (Published 1 April 2010)

47のプライマリ診断研究

・”50歳以上”という項目(range 0.81-0.96, median 0.91)、関連ガイドライン (0.80-0.94, 0.92)、免疫化学便検査  (0.70-1.00, 0.95)では一致して感度は高い


Risk of colorectal cancer in patients aged ≥50 (positive predictive value) versus risk in patients <50 (1–negative predictive value)


・便検査の特異性のみ良好

・特異性は一致して高く、家族歴(0.75-0.98, 0.91)、体重減少 (0.72-0.96, 0.89)、鉄欠乏性貧血(0.83-0.95, 0.92)

しかし、全検査とも感度に欠ける

これら6つの検査はプライマリケアでは十分とはいえない


直腸性出血の場合における直腸結腸癌リスク (positive predictive value) versus 直腸性出血なしの場合のリスク:二次医療機関



直腸性出血・便暗色患者の直腸結腸癌リスク(positive predictive value)  versus 直腸性出血・便暗色なしの場合のリスク (1–negative predictive value)




http://www.bmj.com/cgi/content/full/340/mar31_3/c1269/TBL2



症状と免疫化学的便検査の組み合わせにより診断パフォーマンスが得られてるが、多くの研究はプライマリケアでなされていないものである。プライマリケアレベルでの診断研究に関する品質の高い研究が至急必要であると結論づけられた。

by internalmedicine | 2010-04-09 11:55 | 消化器  

クラミジア感染の検診ランダム化トライアル

(日本もそうだと思うが) Chlamydia trachomatisの性器感染症は、USやヨーロッパでは、最も多いSTDで、年間300万を超す新規感染がある。しかし、無症状、無診断が多く、PID(Pelvic Inflammatory Disease:骨盤内炎症性疾患)を生じ、 fallopian tubeの瘢痕化、卵管性赴任、慢性骨盤痛、子宮外妊娠と関連する。クラミジア感染と合併症に関する年間コストは米国では20億ドルに上る。
故に、先をみこして、クラミジア感染に関する女性の検診治療が、その後12か月の骨盤内炎症性疾患減少効果をもたらすかの検討という次第

幾分か、クラミジア検診で骨盤内炎症性疾患の頻度を減少を示唆する部分、特にクラミジア感染がベースラインである場合は、その傾向があるが、1回のクラミジア検査の効果は骨盤内炎症性疾患予防に関して過剰推定と思われる。

Randomised controlled trial of screening for Chlamydia trachomatis to prevent pelvic inflammatory disease: the POPI (prevention of pelvic infection) trial
Published 8 April 2010, doi:10.1136/bmj.c1642
Cite this as: BMJ 2010;340:c1642




本日は、4/9で、子宮の日らしい

HPVワクチンの啓発には絶好の機会と思う。重要な検診に関しても啓発・・・という次第で、こういうことは地域活動まで巻き込んでいけばより効果が上がると思うのだが・・・

子宮頸がん 早期検診で予防を
4月9日 14時15分 動画あり
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100409/t10013738771000.html
20代や30代の若い女性の間で増えている子宮頸(けい)がんの予防を訴えるため、NPOのメンバーらが9日、全国各地で早めの検診を呼びかけました。子宮頚がんは、検診を受けて早期に発見し治療を受ければ、100パーセント近く治すことができるといわれていますが、検診の受診率は20%程度にとどまっています。

この呼びかけは、4月9日を「子宮の日」として、子宮頸がんの予防を訴えるNPOや、がん細胞を検査する技師の団体が全国7か所で行っているものです。このうち東京のJR新宿駅近くでは、検査技師らおよそ10人が道行く女性にハーブの花の種とチラシを配って、早めの検診を呼びかけました。子宮頚がんは、女性特有のがんのうち、乳がんに次いで患者が多く、毎年およそ8000人が新たに子宮頸がんと診断されているとみられています。子宮頚がんは、検診を受けて早期に発見し治療を受ければ、100パーセント近く治すことができるといわれていますが、検診の受診率は20%程度にとどまっています。呼びかけを行った検査技師の吉田志緒子さんは「検診で早期発見できれば、命を失うことや、子宮を摘出するような悲しいことも防げる。多くの女性に検診の大切さを理解してほしい」と話していました。

by internalmedicine | 2010-04-09 11:04 | 感染症  

日常臨床で頻回に遭遇するデパス依存症

”デパス”依存・・・臨床の現場では、かなり目立つ

”デパス etizolam”はベンゾジアゼピン系で、おそらく、ベンゾジアゼピン依存症の一形態ということになるのだが・・・

薬剤依存は、withdrwal syndrome(離脱症候群)とともに問題で、"The benzodiazepine withdrawal syndrome seen in chronic high dose benzodiazepine abusers is similar to that seen in therapeutic low dose users but of a more severe nature. Extreme antisocial behaviours in obtaining continued supplies and severe drug-seeking behaviour when withdrawing occurs. "

安易に、薬剤処方を行う医療機関側にも問題がある。

当方の地域は、看護師供給地域であり、自らがデパス服用後、親御さんの不定愁訴に、デパス処方を勧めたり、自らの薬剤を与えたりするという話も聞く。やっかいなことに、これを指摘すると、他の薬物依存と同様、conflictを生じることがあり、それを医療機関側が恐れ、言われるがままに処方するという実態が存在する。

デパスは、”健康成人にデパス2mgを食後30分に経口投与した場合,吸収は良好で,最高血漿中濃度は約3時間後に得られ,血漿中濃度の半減期は約6時間であった”という薬剤動態記載。


”脳内ベンゾジアゼピン受容体に対して高い親和性”ということとともに、“ストレス負荷による脳内アミン(ドパミン,ノルアドレナリン,セロトニン)の代謝回転の亢進を強く抑制”(添付文書)ということで、この機序と薬物依存の関連が示唆される。

デパスはpubmed検索(http://eutils.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/eutils/erss.cgi?rss_guid=1D73V0aa8O87K8kjHVGoIOehBfw9jpEIxYOXThCNEItydtfESj) 60件程度と、ほとんど、世界的には科学的検討されてない薬剤で、目立たぬ存在

triazolamと同様、薬剤中断後、離脱症状すなわち、睡眠障害が生じやすく、薬剤依存となりやすいことが示唆される(European Journal of Pharmacology
Volume 597, Issues 1-3, 12 November 2008, Pages 46-50
)。

タンドスピロン(tandospirone;セディール)は、睡眠障害としての離脱症候群を認めないことが上記論文で記載されている。ラットで、ハルシオンやデパスに関して、離脱症候群としての睡眠障害リバウンドが認められ、依存しやすい薬剤であることは確実

by internalmedicine | 2010-04-09 10:29 | 精神・認知