2010年 08月 13日 ( 5 )

 

世界的な広がりの危機: superbug:NDM-1遺伝子を持つ肺炎桿菌・大腸菌

New Delhi metallo-lactamase-1 (NDM-1) geneによるカルバペネム耐性のグラム陰性エンテロバクター、肺炎桿菌、大腸菌にみられる遺伝子を有する、いわゆるsuperbugの拡大が問題となっている

通常の抗生剤が何も効かない・・・肺炎桿菌・大腸菌がひろがれば、社会的損失は計り知れない。
インド・パキスタンへの旅行者には、十分な注意が必要だろう。

Emergence of a new antibiotic resistance mechanism in India, Pakistan, and the UK: a molecular, biological, and epidemiological study
The Lancet Infectious Diseases, Early Online Publication, 11 August 2010
doi:10.1016/S1473-3099(10)70143-2Cite or Link Using DOI


チェンナイ 44例、ハリヤナ 26例、UK 37例、他のインド・パキスタン 73同定

NDM-1は大腸菌(35)、肺炎桿菌(111)で、tigecycline、colistinをのぞきすべての抗生剤耐性

ハリヤナで分離の肺炎球菌はclonalで、UK、チェンナイのはクローン多様性がみられた

プラスミド内のNDM-1遺伝子を有し、UK、チェンナイから急激にtransferされ、ハリヤナからのものはconjugateではなかった。

UK NDM-1陽性患者の多くはインド・パキスタンへの1年以内の旅行者か、これらの国と関連があった。




オーストラリアへの広がりの報道
http://www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5jQrn-3QEZQ--ELY32r6m66wRJM0Q



Tygacil(一般名tigecycline): 日本政府はこの薬剤の供給体制準備位しておくべきだろう

・コリスチン は忘れ去られていた薬剤だが、多剤耐性で再び名前を聞くようになった。

by internalmedicine | 2010-08-13 16:14 | 感染症  

CRESCENDO:選択的カンナビノイド拮抗剤リモナバント 心血管疾患減少効果認めず

肥満治療薬である、selective cannabinoid-1 receptor antagonist:rimonabant(リモナバント)は体重減少をもたらすが、心血管合併症を減らすかどうか・・・確認されてない。



Rimonabant for prevention of cardiovascular events (CRESCENDO): a randomised, multicentre, placebo-controlled trial
The Lancet, Volume 376, Issue 9740, Pages 517 - 523, 14 August 2010

二重盲検プラセボ対照化トライアル(42カ国、974病院)、18695名の被験者で、心血管疾患の所見やリスクの高くない対象者をrimonabant 20mg(n=9381)と、マッチングプラセボ(n=9314)と比較
プライマリエンドポイントは、心血管死、心筋梗塞、卒中(中央補正にて決定)
ITT解析

フォロアップ平均13.8ヶ月 (95% CI 13·6—14·0)で、早期中断(rimonabant群の自殺について、3カ国の医療行政監視強化)

組み合わせプライマリエンドポイントは、rimonabant割り付け 365(3.9%)、プラセボ割り付け 375(4.0%)(hazard ratio 0·97, 95% CI 0·84—1·12, p=0·68)

rimonabantにおいて、胃腸(3038 [33%] vs 2084 [22%])、神経精神(3028 [32%] vs 1989 [21%])、重度性心疾患 (232 [2·5%] vs 120 [1·3%]) の副作用がプラセボ比較で増加


rimonabant群4名とプラセボ群ん1名が自殺

by internalmedicine | 2010-08-13 14:48 | 糖尿病・肥満  

精神科医療での厚労相答弁「国民の誤解招く」―日医

精神科医療での厚労相答弁「国民の誤解招く」―日医
8月11日22時57分配信 医療介護CBニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100811-00000014-cbn-soci

H22.8.4の参院予算委
自殺対策などについての桜井充氏(民主党)の質問に対する長妻厚労相の答弁
・桜井氏は質問の中で、「統合失調症という疾患に関して、日本は圧倒的に薬剤を多く使う」
・長妻厚労相は「自殺をされた方のかなりの部分が、向精神薬を過剰に摂取していたとのデータもある」


日医の見解
▽限られた76人の自殺既遂者を対象としている▽「過量服薬」を「死亡時に向精神薬を医師の指示より多く服用していた者」と定義しているが、向精神薬の種類や具体的な分量など、詳細な定義がなされていない―と指摘した。
▽長妻厚労相が答弁で「薬漬け」と発言したことについて、「医療機関でのうつ病への対応について、国民の誤解を招くもの」との懸念を表明。精神科医療に対する不安を助長し、医療機関の信頼を失うことになりかねないと指摘している。
▽厚労相が「薬を使わない療法にも注力をしていくということで、一定程度その流れを4月の診療報酬改定で変えたと思っている」と発言したことに対しては、軽中度のうつ病などでは認知行動療法は有効だが、重度になると向精神薬での治療が不可避であると指摘。「いたずらに認知行動療法へ誘導することは、現場の混乱を招きかねない」としている。



精神科医療・非薬物的治療に関して、日本の行政はきちんと責任を果たしているか・・・はなはだ疑問

認知行動療法など皆無に等しい日本の精神科医療に関して国がその制度や資格整備などおこなうべきで、薬物治療を悪者にしてもはじまらないと思うのだが・・・

by internalmedicine | 2010-08-13 10:42 | 精神・認知  

認知症予防: crystallised intelligence、野菜・果物、糖尿病

"crystallized intelligence"でなく、"crystallised intelligence"となっているが、認知症予防としての介入要素として、この訓練が重要なのだろう。そして、野菜・果物摂取は日本人は少ないだけに、糖尿病予防とともに、啓発も必要だろう。

漢字検定とか、川柳などのあそびのどの語彙遊び・・・などは、日本国民の認知症予防になる?

Designing prevention programmes to reduce incidence of dementia: prospective cohort study of modifiable risk factors
Published 5 August 2010, doi:10.1136/bmj.c3885
Cite this as: BMJ 2010;341:c3885


【目的】特異的リスク要素が除外できたら、認知症頻度の比率パーセンテージ減少するか推定

【デザイン】 前向き7年コホート研究.

【セッティング】一般住民、フランス、Montpellier

【被験者】1433名、65歳超の平均年齢72.5(SD 5.1)歳

【主要アウトカム測定】標準化された神経学的検査によるMCI,認知症診断

【結果】 Cox modelを行い認知症寄与修正可能リスク要素を決定

7年間のMCI、認知症発生から、住民寄与区分平均パーセンテージを95%信頼区間で計算

最終モデルとして、 crystallised intelligence (population attributable fraction 18.11%, 95% 信頼区間 10.91% to 25.42%)、うつ (10.31%, 3.66% to 17.17%)、果物野菜摂取(6.46%, 0.15% to 13.06%)、糖尿病(4.88%, 1.87% to 7.98%)、apolipoprotein E ε4 allele (7.11%, 2.44% to 11.98%)


結論に書かれているが、これはあくまで、コホートの結果であり、causal relationshipに関しての完全な情報ではない。・・・冷静な解釈も必要。




"Crystallized intelligence "は、流動的な”fluid intelligence"とともに、intelligenceの構成要素

The efficacy of working memory training in improving crystallized intelligence



心理学の世界では、 ”fluid intelligence”(Gf)と”crystallized intelligence”(Gc)と2つにインテリジェンスを分ける話がある。すなわち、”それまでの知識に関係ない、新しい課題に対する論理的思考能力と問題解決能力”と”それまで獲得したスキル・知識、経験を用いる能力”である。Gc は一般知識の深さ・広さであり、語彙力、言語・数字利用の理由付け能力である。
ただ、この響きのよい言葉は、misleadingにつながっているという批判もあり、さらに、GfとGcの相互関連性もあり、議論のあるところである。
WAIS(Wechsler Adult Intelligence Scale )検査のうち、performance scaleをGfの指標として、語彙スケールをGcの指標として用いることがある。overall IQ scoreは2つのスケールのコンビネーションである

by internalmedicine | 2010-08-13 09:14 | 精神・認知  

FDA注意喚起:ラモトリギン(商品名 ラミクタール)と髄膜炎

ラモトリギン(商品名 ラミクタール)と髄膜炎



FDA Drug Safety Communication: Aseptic meningitis associated with use of Lamictal (lamotrigine)
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/PostmarketDrugSafetyInformationforPatientsandProviders/ucm221847.htm


FDA Warns of Meningitis Linked to Lamotrigine
http://www.medpagetoday.com/ProductAlert/Prescriptions/21647


antiepileptic drug lamotrigine (Lamictal)は、双極性感情障害でも認可されているが、FDAが警告を発した。
1994-2009年までの小児・成人40例の同薬剤服用・髄膜炎症例の報告
医療関係者に、髄膜炎所見を見いだしたlamotrigine服用者ではその服用中止を考慮すべきと推奨


頭痛、発熱、吐き気、嘔吐、項部硬直、皮疹、羞明、筋痛などの症状・所見
服用後平均16日(1-42日)の発症、35例は入院


メカニズム不明だが、25例の脳脊髄液では軽度・中等症の pleocytosis(白血球増多)を認め、多くは主にリンパ球優位で、軽度・中等度のタンパク増加がみられた。

好中球優位が多かったが、三分の一ではリンパ球優位

SLEなどの自己免疫疾患患者も含まれた。

by internalmedicine | 2010-08-13 08:25 | 精神・認知