2010年 08月 17日 ( 6 )

 

持続性喘息でも好気的運動トレーニングを

喘息症状は患者の日常生活活動性を減少させ、health-related quality of life (HRQoL)を低下させ、不安・うつ報告数を増加させ、喘息コントロールを悪化する元となる

好気的運動を導入することで、改善効果が見られないか?

Effects of Aerobic Training on Psychosocial Morbidity and Symptoms in Patients With Asthma
A Randomized Clinical Trial
CHEST August 2010 vol. 138 no. 2 331-337

持続性喘息のひとも、エアロビック運動で、身体運動制限、症状頻度、心理・社会的要素項目と総HRQoL改善

無喘息症状日数と不安・うつも改善

好気的運動能力の改善と喘息症状なし日数の線形の関係が見られた(r = 0.47; P < .01)

by internalmedicine | 2010-08-17 15:17 | 呼吸器系  

ICUで人工呼吸外した後どれくらいで死に至るか?

日本では考えられない報告

Predictors of Time to Death After Terminal Withdrawal of Mechanical Ventilation in the ICU
CHEST August 2010 vol. 138 no. 2 289-297


年齢中央値71歳(58-80歳)、44%女性
人口呼吸中断から死亡までの時間・中央値(IQR)は、0.93時間(02.5-5.5時間)

Cox回帰にて、独立した予後の悪い因子は、非白人 (hazard ratio [HR], 1.17; 95% CI, 1.01-1.35)、臓器不全数(per-organ HR, 1.11; 95% CI, 1.04-1.19)、昇圧剤 (HR, 1.67; 95% CI, 1.49-1.88)、IV輸液 (HR, 1.16; 95% CI, 1.01-1.32)、手術vs内科医療(HR, 1.29; 95% CI, 1.06-1.56)

死亡時間まで時間が長いのは高齢者 (per-decade HR, 0.95; 95% CI, 0.90-0.99) 、女性である(HR, 0.86; 95% CI, 0.77-0.97)



単に人口呼吸離脱するだけでなく、離脱後の呼吸苦に対して、モルヒネなどのnarcoticsや鎮静剤を使用するのが普通(American Journal of Critical Care, Vol 5, Issue 5, 331-338)であり、日本でこれをやると・・・

人口呼吸を1度始めると、条件がよほどそろわない限り離脱困難となる。条件がそろわない状況で人口呼吸はずしてしまうと、警察沙汰&マスコミにより全国に名前公表&医道審議会・医師免許あやうくなる

逆に、人口呼吸を続けると・・・家族からかねもうけのためやってんじゃねえの・・・と、すごまれることもある。

リビング・ウィルなど本人の意志がはっきり示されていればある程度、本人の意志を尊重もできるが、制度の不備の責任はすべて現場が引き受けざる得ない・・・悲惨な状況となっている。


日本の医療は表面的なヒューマニズムが全般を覆っている。
終末期医療などは患者本意でなく、患者の家族の気持ち次第となっている。
より患者本位にするためには生前に、終末期にどの程度の医療を希望するかを十分に表明する機会が必要で、真に患者本人の気持ちを尊重する制度でなければならない。
そのためには、この論文のような人口呼吸離脱時にどの程度生存するかなど基礎的資料は必要だろう。



American College of Chest Physicians Consensus Statement on the Management of Dyspnea in Patients With Advanced Lung or Heart Disease Chest March 2010 137:674-691;

AMERICAN THORACIC SOCIETY
Dyspnea
Mechanisms, Assessment, and Management: A Consensus Statement
Am. J. Respir. Crit. Care Med., Volume 159, Number 1, January 1999, 321-340

by internalmedicine | 2010-08-17 15:03 | 医療と司法  

喉のごろごろ音は肺炎かもしれない

静かな呼吸時、gurgling sound聴取する場合、肺炎を考える必要がある

Gurgling Breath Sounds May Predict Hospital-Acquired Pneumonia
Chest August 2010 138:284-288; published ahead of print March 26, 2010, doi:10.1378/chest.09-2713

予後と関連しないとのこと

20名のgurgle音聴取と60名の対照比較

ナーシングホーム住居者、認知症者に多く、多変量解析で、認知症、オピオイド使用者において有意であった


日常高齢者をみていると、そんな感じは確かにある・・・聴診しなくてもゴロゴロのど元から聞こえるひとは肺炎を考慮すべきかもしれない。


dying raleと、音の性質に違いはあるのだろうか?

by internalmedicine | 2010-08-17 14:07 | 呼吸器系  

喫煙は、呼吸筋障害より先行して、直接、筋肉量減少・機能低下をもたらす

喫煙による筋肉の影響は、呼吸器系障害から筋肉へ影響を与えるより前に、筋肉の蛋白にoxidative damageを与え、 これが筋肉の減少・機能低下をもたらしている。

すなわち、COPDは、”喫煙が原因による、筋肉・呼吸器系を含む全身性疾患”である。

Cigarette Smoke–induced Oxidative Stress
A Role in Chronic Obstructive Pulmonary Disease Skeletal Muscle Dysfunction
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine Vol 182. pp. 477-488, (2010)

ENIGMA in COPD Project


解糖系酵素、クレアチニンキナーゼ、炭酸脱水酵素(carbonic anydrase-3)、筋収縮蛋白が有意に喫煙者・COPD患者で、カルボニル化されている。喫煙暴露モルモットでも呼吸筋・四肢筋で確認。


心理的要素がこれに加わると主のだが・・・



細胞や組織で発生する活性酸素種(ROS)は近くに存在するタンパク質を非特異的に酸化します。タンパク質の酸化修飾体として、よく知られているのがカルボニル化タンパク質です。カルボニル化タンパク質はタンパク質中のプロリン、アルギニン、リシン、スレオニンなどのアミノ酸がROSにより酸化修飾を受け、カルボニル誘導体となったタンパク質の総称です。カルボニル誘導体は化学的に安定なため、近年、典型的な酸化ストレスのマーカーとして頻繁に用いられ ています。(解説借用)

by internalmedicine | 2010-08-17 11:08 | 呼吸器系  

エストロゲン単独では肺がんリスク増加せず・・・

Women's Health Initiative (WHI)ランダム化トライアルでは、エストロゲン+プロゲスチン併用における肺がんリスク増加があきらかになった。

このトライアルのpost hoc 解析で、エストロゲン単独では、肺がん発生・死亡率影響与えず・・・という報告

Lung Cancer Among Postmenopausal Women Treated With Estrogen Alone in the Women’s Health Initiative Randomized Trial
Chlebowski et al. J. Natl. Cancer Inst..2010; 0: djq285v1-9


post hoc解析でエビデンスレベル高いとは思えないし、肺がん発症数全体が少ない。癌治療に関する情報がないなど研究の限界がある。



ホルモン補充療法関係:http://bit.ly/9HvvCK
この報告を利用して、婦人科関係の学会がホルモン補充療法をごり押しすることは目に見えている
ホルモン補充療法推進に懸命な産経:日産婦と日本更年期医学会指針記事 2009-04-03

ホルモン補充療法に関して、自覚症状改善目的なのか、動脈硬化改善が目的なのか、それ以外のわけのわからない”アンチエイジング”が目的なのか・・・それに対して有害性は・・・明示されるべきだろう

by internalmedicine | 2010-08-17 10:12 | 医療一般  

メキシコ湾原油汚染・健康被害

Gulf Oil Spill (メキシコ湾の原油汚染)の健康被害についてのJAMA記事

Health Effects of the Gulf Oil Spill

Gina M. Solomon, MD, MPH; Sarah Janssen, MD, PhD, MPH

JAMA. Published online August 16, 2010. doi:10.1001/jama.2010.1254


メキシコ湾のオイル漏れ 主成分は脂肪族(aliphatic)、芳香性hydrocarbonで、低分子芳香族、たとえばベンゼン、トルエン、キシレンは 揮発性有機化合物:volatile organic compounds (VOCs)である。数時間以内に揮発する。VOCsは呼吸器刺激性、中枢神経へ機能低下をもたらす。
ベンゼンはヒトで白血病を生じる原因となることが知られ、トルエンは蒸散速度がもっとも緩徐。
高分子化学物質であるナフタレンがより緩徐な消失速度で、ヒトへの発がん可能性として論理的にあり得る物質として National Toxicology Program に名前が挙がっていて、嗅神経芽腫、鼻の腫瘍、肺がんが動物実験で示されている。
オイルは硫化水素を放出し、重金属を微量含み、非揮発性のに多環芳香族炭化水素 (polycyclic aromatic hydrocarbons, PAH)も含み食物連鎖に関与する。
硫化水素は、神経毒性を有し、急性・慢性中枢神経への影響を与える。
PAHsは遺伝子変異原性、発がん性の可能性がある
オイル燃焼による物質は心臓・呼吸器系への影響、胎児生存への影響をもたらす。

類を見ない規模のオイル漏れ・・・180万ガロンを超える規模で、洗浄剤(detergents)、サーファクタントpetroleum distillate、たとえば 2-butoxyethanol、 propylene glycol、 sulfonic acid saltsの呼吸器系への影響も関与する。

・・・続く

by internalmedicine | 2010-08-17 09:09 | 医療一般